この気持ちは、気付かれない。
わたしの不甲斐なさは、何年たっても変わらない。
「…おいで、皐月。」
ベッドに横たわっている彼に呼ばれるがまま、近づいていく。
彼もあの頃のまま変わらないし、拒否しないわたしもあの頃のまま変わらない。
ドクドクと全身が心臓になったみたいにうるさくて、ああやっぱり緊張するんだな、ってどこか他人事みたいに思った。
「…相変わらずほっそい腰。また痩せたんじゃない?」
するりとスウェットの隙間から熱を持った手が滑り込んでくる。
そのままぐい、と腰を抱き寄せられれば、重力に逆らえず彼の上に落ちた。
「あ〜皐月だ…。」
するすると、腰から脇腹にかけてを繰り返し撫でられる。
くすぐったいような、むず痒いような、感覚。
もう、何もかもを覚えてしまった体はそれだけで緊張とは違う熱を帯びてくる。
わたしはやっぱりぎゅっと目を閉じた。