この気持ちは、気付かれない。







「さつき、」





上から呼ばれて、きつく閉じていた目を開ける。


そこには壮絶な色気を発する山本くんがいた。


やっぱりびくりと心臓が跳ねる。

滴る汗の一滴すらもそれが山本くんの一部であることを主張していて、息ができないほど苦しくなった。






「…きっつ。だいじょぶ?」

「…うっ、さ、い!っ、」




大丈夫か、なんて聞いておきながら。

容赦ないじゃないか。意地で返事をしたわたしをもっと労ってほしい。





「ほんっと、いつまでも変わんないね。」

「もっ、だまっ、…ふぁっ!」

「あー可愛い……声、我慢しないで?」





嫌、嫌、嫌。



ふるふると首を振る。

それと同時に自分の指を噛んだ。




そうしないと、声が、




「噛んだらダメ。跡つくぞ。」

「やっ…!んぁ、あ、」



嫌だ、いや、いや。



苦しくて、でも体は気持ちよくて、やっぱり苦しい。


目の前が霞んだ。





「泣いてる。可愛い。」



もう本当に、何もかも限界で、震える手を彼の首元に伸ばした。

その途端に顔面にキスが降ってくる。


おでこ、まぶた、こめかみ、頬、唇、目尻、また唇。




「も、はや…く、」




苦しいから、いかせてほしい。
涙ながらにそう懇願した。






「…たまんね、」

「ぅあっ、んっ、」











最後はやっぱり意識が持たなくて。



「いーよ、おやすみ。」



まぶたに降ってきたキスを最後に、わたしは意識を手放した。





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