この気持ちは、気付かれない。
ぎゅうぎゅうと、狭くて苦しくて目が覚めた。
「ん"……」
喉痛い。声、枯れてる。最悪。
肩と頭が抱きしめられてて、足もホールドされてる。動けない。喉痛いから、水飲みたいんだけど…
頭を動かしたり、足を解こうと動いていると
「なに……」
ヤツは目を覚ましたらしい。
「喉痛い。水。」
「はい。」
いつの間に持ってきていたのか、わたしの背後からペットボトルを差し出してきた。
いっつも水飲むのもわかってて、ベッドサイドに置いてたのか。なんという策士。
「もうちょっと、寝るぞ。」
そう言ってまた、ぎゅうぎゅうと抱きしめられた。
いくらなんでも、さすがに暑いし……でも、なんかもう苦しいのも通り越した。
よく見たらわたしはTシャツを着せられてるし、山本くんも下着だけは履いている。
後処理まできちんとしてくれたらしい。
彼の肩口にわたしの引っ掻いた跡が見えて、恥ずかしくなって目をぎゅっと閉じて寝た。
爽やかなミントみたいな、シトラスみたいな香りがした。
嗅ぎ慣れた、と思ってしまったのがやっぱりまた苦しかった。