この気持ちは、気付かれない。
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いつも4人で集まるお店がある。
バーのような、居酒屋のような。
とても居心地がいいお店だ。
実は元々わたしの兄貴の行きつけの店で、わたしが18の時紹介してやる!とか言われて連れてこられた。
兄貴が自分と夢を追いかけてる今、ここはわたし達の“いつもの場所”になりつつある。
「皐月ちゃん!」
少し待ち合わせよりも早めに行くと、すでに優衣がいた。
「優衣、早いね。まだ一人?」
「うん、でももうすぐ秋くん来るって。」
「そ。」
秋からの連絡は優衣にいくのか、とか山本くんと一緒じゃないんだ、とか色々思ったけれど、優衣の笑顔をみてそんなのはどうでもよくなった。
「弘くんは少し遅れるって。さっきこっちに着いたって連絡が来たよ!」
「じゃー秋が来たらもう入ろうか。」
「うん!」
少し立ち話をしていれば、秋がやってきた。
「お!皐月、久しぶりだな!」
自然に優衣の隣に立って、爽やかな笑顔をわたしに向けてきた。
「久しぶりだね。元気?」
「おー。お前は?」
「元気だよ。」
変わらない猫っ毛に、心臓がざわざわする。
正面から向けられた笑顔に、昨日とは違った意味で苦しくなる。
こうして久しぶりに会うたびに、泣きそうになってしまう。
わたしの時間はずっと止まったままなんだと思い知らされてしまう。
それぞれ1杯目のグラスが空いた頃、彼は遅れて登場した。
「おーっす、遅れて悪りぃ!」
「おっせーよ弘!久しぶりだな!」
「おう、秋めっちゃ元気だな。」
くつくつと笑いながら、空いていたわたしの隣に座った。
4人がけの個室テーブルで、優衣とわたしが正面で優衣の隣が秋、っていうのは冷静に考えたらおかしい。
それに誰も突っ込まないのも、おかしな感じだ。