この気持ちは、気付かれない。







「弘は実際どんくらいモテるわけ?」




どんな話の流れだったか、秋がそんなことを言い出した。



「いや別に、そんなに言うほどじゃねぇよ?」


「げー。でも絶対俺よりはモテるし。」


「秋モテんの?」


「3回は告られた!全部同じ子!ははははは!」


「すっげ、まじ?」


「秋すごー。それ断るの?」


「んーまあな!」


「付き合えばいいじゃん。」


「んーでもなんか違くて。それに、全く気持ちがないのに付き合うのって失礼かなって思ったりした。」


「秋くんて本当に優しいもんねえ」


「へへっ、だろー?」


「…あ〜。皐月は?モテる?」


「わたし?いや、全然。」


「はいはい。で、本当は?」


「いやだから、全然だし!嘘じゃないから!」


「皐月ちゃん、わたしにも言ってくれないんだよ?だから本当なのかな、って思ったりしたんだけど…」


「彼氏できたりしたら優衣には言うし。」


「うん…。」


「えーでも、告られる事くらいあったろ?俺みたいに!」


「えー、同じ人に3回も?ないない、そんな経験普通ないよ。」


「なんで?皐月ってまじでモテそうなのに。」


「さあ、なんでだろうね?」










ずっとずっと好きな人がいるからじゃない?とか、人には言えないような関係があるからじゃない?とか、そんなこと言えるわけもない。

秋には汚いわたしを見られたくないし、秋の邪魔もしたくない。






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