この気持ちは、気付かれない。






ガンガンと頭が痛くなる。


優衣の言葉を反芻して、苦しくなった。


ああ、また。息が、できない。

でもきっとそれは優衣も一緒なはず…







ごめんね、そんな思いをさせて、ごめん。







「…わ、わたしは、優衣には言えないようなことばっかりだったから…」

「なんで言えないの?私、皐月ちゃんのことならなんでも聞くよ?軽蔑なんて絶対しないし、絶対皐月ちゃんの味方でいる!」




そんなこと、何も知らないから言えるのよ。

……絶対、なんて信じない。





「言ったら絶対に優衣を傷つける!そんなの嫌だったの!それに、わたしの嫌なところを見られるのも、嫌だったの!……全部、わたしが悪いから。わたしさえいなかったら、きっとみんな幸せだったのに。」



目の前が見えないほど、涙が流れる。


いつも、思っていた。






“わたしがいなかったら、優衣はもっと幸せだったのに。”






わたしを幸せにしてくれる優衣を、わたしは傷つけることしかできない。


口にしてしまえば、それを認めてしまう気がして言えなかった。

でも、言ってしまった。




ああ、もう。

視界が回る。

音も遠くに聞こえるし、目の前も霞む。







「わたしなんか、いなければよかった。ごめんね、優衣。ごめん、ごめん…」

「皐月ちゃん?どうしたの、皐月ちゃん!」

「皐月?!」

「おい、皐月!」





泣きすぎたのかなんなのか、立っていられなくなる。


ぐらりと崩れたわたしを支えた彼からは、シトラスの香りがした。










優衣、優衣。ごめんね。


もうわたしなんか、いなくなった方がいいよね。ごめん。






呼吸の仕方も忘れて、意識を手放した。




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