この気持ちは、気付かれない。
「…で、最近どうなの?」
「え?なにが?」
「彼氏。山本くんとはどうなのよ、って聞いてるの。」
優衣は今も、高校の時と同じく、山本くんと付き合っている。
彼は少し遠くの大学に進学していってから一人暮らしをしていて、わたし達は未だに付き合いがあり、秋を含めた4人でその家で鍋を囲んだこともある。
「もう4年以上の付き合いでしょう?長いね。」
「ふふ、そうだね〜」
照れたようにはにかんで笑うのは、優衣が嬉しいときの癖だ。いつもはふんわり笑う。
わたしは頬杖をつきながらその顔を眺める。
「実はね、再来週お泊まりしに行くんだ。最近あんまり予定が合わなかったから、とっても楽しみなの。」
「へえ!そうなの、よかったね。」
「……わたしね、少しだけ不安もあるの。聞いてくれる?」
「え?不安?」
なんだろう。何か、あったんだろうか。
「弘くんって、かっこいいじゃない?だから大学ですごくモテるんじゃないかな、って思って…」
「……なんだ、惚気か。」
「もぉー皐月ちゃん!笑い事じゃないんだから!」