この気持ちは、気付かれない。
大好きな皐月ちゃんと弘くんのどちらもを見ていたら、弘くんがいつも皐月ちゃんを見ていることに気付いた。
なんだか優しい表情で、笑いながら皐月ちゃんを見る弘くんの顔が忘れられない。
何度も何度もそんなことが続けば、弘くんの気持ちが私に向いてないことなんてすぐにわかった。
最初はちょっと信じられなかった。
悲しくなって、1人で泣いたこともある。
弘くんのことは本当に大好きで、弘くんも私のことを好きでいてくれてると思っていた。
だけど、その表情を見て悟った。
ーー弘くんの本当に好きな人は、私じゃなくて皐月ちゃん。
だけど気付いてしまってからしばらくすると、悲しくも悔しくもなくなってきた。
ただ思ったのは、「そりゃあ、皐月ちゃんだから、しょうがない。」だった。
だって、思い返せばずっと。
私の1番も弘くんじゃなくて皐月ちゃんだったから。
私は他の人が思っているよりずっと皐月ちゃんのことが大好きで、皐月ちゃんの全てを受け入れることができる。
きっとこの気持ちは皐月ちゃんも知らないし、弘くんも知らないに違いない。
弘くんに抱いていた恋心とはまたちょっと違って、でもとても似たものだった。