この気持ちは、気付かれない。

「皐月ちゃんにもっと頼ってほしい」




皐月が席を立っている間に優衣が零した言葉。



やっぱり優しいな、と思って微笑ましかった。




それと同時に、皐月が優衣にこんなに大事にされていることに嫉妬した。


優衣の話はほとんど皐月のことばかりだし、皐月のことがそんなに好きかよ、と自棄になった。







俺だって、優衣のことが大事だ。

皐月よりも。




優衣の1番を、なんの努力もなしに掻っ攫っていく皐月が、正直憎かった。



優衣のことを好きでもないくせに、彼氏というポジションを離れない弘のことも憎かった。




ーーお前らより、俺の方が絶対優衣のことを好きなのに。














泣きながら皐月に訴える必死な優衣の姿を見て、俺も苦しくなった。



こんなに思われてるのに、なんで優衣を頼ってやらねえんだよ。

なんでこんなに泣くまで優衣を放置するんだよ。

もっと優衣のこと大事にしろよ。





ーー俺なら、俺なら優衣にこんな思いはさせないのに。






言葉にしちゃいけない気持ちは、どんどんつのって、今にも溢れそうになってた。