この気持ちは、気付かれない。
「ゆ、優衣…大丈夫か?」
「うん。もう、大丈夫。お水もらってもいい?」
急いでマスターに水をもらいに行く。
「おい、皐月どうしたんだよ!」
「あー…ちゃんと弘が連れて帰るんで。大丈夫っす。」
「どういうことだよ。今度説明しろよ。」
皐月の知り合いであるマスターには鋭い目で睨まれた。
水をもらって優衣のところに戻ると、優衣は呆然としたままゆっくりと涙を流していた。
「優衣……?」
「……皐月ちゃんを、泣かせちゃった。」
泣いたまま、困ったように笑って見せた。そんな優衣は、痛々しい。
「…そんなつもりじゃ、なかったのに。あんな風に、皐月ちゃんを追い詰めるつもりじゃなかったの。」
ごめんね、皐月ちゃん。と呟いてまた泣いた。