この気持ちは、気付かれない。
付き合い始めて間もなく、「私のね、ずっと大好きな女の子なの。」と頬を染める優衣に、皐月を紹介された。
噂だけは聞いたことがあった、その女。
物静かで、いつも一人で、とんでもなく容姿が整ってる、近づき難い絵画の中にいるみたいな女。
どんな奴だよ、と思って毛嫌いして俺はずっと避けてた。
もっと早くに皐月を見ていれば。
出会っていれば。
そんなことを考えても仕方がないのはわかってる。
だけど、そう思わずにはいられなかった。
容姿は優衣とは真逆の、綺麗系。
色が白くて、髪が真っ黒で、唇の色は薄い赤。
化粧は派手すぎないのに、元がいいからかえらく華があった。
人と馴染まないのは、その口調がすこしぶっきらぼうなせいだと思う。
確かに誰にでも心を開くタイプではなくて、なんとなく影がある感じなのも、その印象を取っ付き難くさせてる原因だと思った。
俺は一目で皐月に心を奪われた。
心の底から、優衣と簡単に付き合ったこと、皐月を毛嫌いして顔を合わせなかったことを後悔した。
優衣と仲がいいという秋が加わって、俺たちはいつも4人でいるようになった。