この気持ちは、気付かれない。
ーーわたしが誰かを愛する時、誰かもわたしのことを愛している。
ーーわたしが孤独だと思っても、母だけはわたしを愛してくれる。
大好きだった母親は、わたしが10歳の時に亡くなった。
真っ白すぎる病室で。
白衣を着ている父親と、制服を着ている兄貴。
あの時初めて、わたしの世界は色褪せた。
話しかけても目を開けない母親に。
手を握っても握り返してくれない母親に。
だんだんと冷たくなっていくその手に。
無情に鳴り響く機械音に。
何も言おうとしない父親に。
…わたしは押しつぶされそうな孤独感の真ん中にいて、生きる術を失った。