この気持ちは、気付かれない。







いつもと同じように目覚ましで起きて


いつもと同じように支度を済ませて1階に降りてテーブルに座る。


だけど、いつもと同じ朝食は出てこなかった。




母の大好きな花は飾ってなかった。


母の香水の香りがしない。


母の笑い声がしない。


服を整えてくれる母の手がない。








そこにあるのはぽっかりと空いた穴だけで、毎日毎日テーブルのわたしの椅子に座ってぼろぼろと泣いていた。

















ーーわたしが孤独な時、わたしを愛してくれるんじゃなかったの。




そんな怒りにも似た感情をぶつけることもできず。




寂しい、と呟いても


「わたしがいるわ。可愛いメイを一人にしたりはしないわ。」


と頭を撫でてくれる手もない。









それは酷い酷い孤独感で、毎日少しずつわたしの心を削ぎ落としていった。





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