この気持ちは、気付かれない。
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あの、4人で話をした次の、次の日だった。
「よう。」
「…は?」
まさか、こんなに早く彼がやってくるとは。
わたしが起きたのを見計らったかのようなタイミングで朝からやってきたのは、山本くんだった。それにしても…
「なにそれ…」
「へへ、似合うだろ?」
照れ臭そうに頭をかいた。
そこに見慣れた茶色はない。
彼はトレードマークだった茶色の少し長めの髪をバッサリと切っていた。スポーツ刈りとでも言えそうな短髪に、色は真っ黒。
あまりに驚いて口をぽかんと開けてしまった。
「びっくりした?」
「そりゃ、そうでしょ…」
こんなに髪が短い山本くんは初めて見た。黒なんていうのも珍しい。
一体どうしたんだろう…
「…一応、精一杯の誠意だったんだけど。」
「は…?」
「なんか、変えてみせたくて。見えるとこが変わった方が皐月も信じてくれるかと思って。」
ああ…なるほど。
彼は自分の誠意を見せると言ったのか。
「俺さ、がんばるよ。皐月を喜ばせる。今までたくさん我慢させた分、たくさん喜ばせるから。」
ニカッと笑ってまた頭をかいた。
「ってことでさ、明日出かけね?晴れるみたいだし見せたいもんがあるんだ。」
少しだけ返事に困ったけど、わたしはその誘いを了承した。