失恋バレンタイン
笑えてたかな?引き攣ってないよね?泣き顔になってなかったよね?最後まで、良い奴でいられたよね?
階段を駆け下りている間、ずっとそんなことばかり考えてた。
「…っ……はぁ……」
無我夢中になって、階段を駆け下りたせいで、荷物を教室に忘れてしまった。
「……なにやってんだか。バカ」
自分のバカさ加減に腹が立つ。
私の教室には西階段から行くのが早いんだけど、もしも鉢合わせしたら、気まずいし、今は笑い飛ばせる自信がない。
すごく歪んだ、醜い顔をしちゃいそうだ。
東階段から行こう。一番遠いけど、上手く行けば私とあの2人が入れ違いで顔を合わせずに済むかもしれない。
そうと決まれば早い。急ぐこともせず、東階段へと向かう。今日はテスト週間で部活もないからか、学校にいる人は少なく、誰ともすれ違わなかった。
教室のある3階につくと、隠れるように教室まで小走りした。少し遠くから、2人の話し声が聞こえる。廊下だから、余計に響くのだろう。
教室のドアを、極力静かに開けて中に入り、ほっと一息ついた。
「……あ……あった」
後ろから2列目、左から2列目の机が私の席だ。君はその左隣り。窓から入る夕陽で、私達の席は夕焼け色に染まっている。
荷物を持つと、君の机に無意識に視線が移る。
「ずっと、一緒だったのになぁ……」
物心がついた時から、一緒にいて、何かあると、二人で一喜一憂してたのに。
いつからだろう。
君の笑顔に心臓が高鳴るようになったのは。
無性に君の傍にいたくなったのは。
誰にも、君の隣を譲りたくなくなったのは。
知らなければ良かった。こんな気持ち。
「ほん、とに、気付かなきゃ、……良かった、のに」
家まで我慢しようと思っていたのに、我慢できずに瞳から零れ落ちた雫は床に小さな水たまりをつくる。
これ以上、嗚咽が漏れないようにと手で覆っても、それは効果をなさない。
「……ふっ、…っ……くっ……」
好きだったの。
どんなに冷たくしていても、好きだった。
君の笑顔が、大好きだった。
願わくば、この想いが届いて欲しかったよ。
「好き……だったのよぉ…」
好き。ほら、言葉を口にすると、こんなにも苦しい。
どんなに願っても、君は私を見ることはない。
このままこの感情を持ち続けていたら、君の笑顔が曇って見えてしまう。
君の幸せを喜んでやれない私なんて、嫌なんだ。
だから、最後に。
「ずっと、前から……好き、でした」
この言葉を口にして、君への想いを終わりにするよ。
さようなら、わたしの初恋。
階段を駆け下りている間、ずっとそんなことばかり考えてた。
「…っ……はぁ……」
無我夢中になって、階段を駆け下りたせいで、荷物を教室に忘れてしまった。
「……なにやってんだか。バカ」
自分のバカさ加減に腹が立つ。
私の教室には西階段から行くのが早いんだけど、もしも鉢合わせしたら、気まずいし、今は笑い飛ばせる自信がない。
すごく歪んだ、醜い顔をしちゃいそうだ。
東階段から行こう。一番遠いけど、上手く行けば私とあの2人が入れ違いで顔を合わせずに済むかもしれない。
そうと決まれば早い。急ぐこともせず、東階段へと向かう。今日はテスト週間で部活もないからか、学校にいる人は少なく、誰ともすれ違わなかった。
教室のある3階につくと、隠れるように教室まで小走りした。少し遠くから、2人の話し声が聞こえる。廊下だから、余計に響くのだろう。
教室のドアを、極力静かに開けて中に入り、ほっと一息ついた。
「……あ……あった」
後ろから2列目、左から2列目の机が私の席だ。君はその左隣り。窓から入る夕陽で、私達の席は夕焼け色に染まっている。
荷物を持つと、君の机に無意識に視線が移る。
「ずっと、一緒だったのになぁ……」
物心がついた時から、一緒にいて、何かあると、二人で一喜一憂してたのに。
いつからだろう。
君の笑顔に心臓が高鳴るようになったのは。
無性に君の傍にいたくなったのは。
誰にも、君の隣を譲りたくなくなったのは。
知らなければ良かった。こんな気持ち。
「ほん、とに、気付かなきゃ、……良かった、のに」
家まで我慢しようと思っていたのに、我慢できずに瞳から零れ落ちた雫は床に小さな水たまりをつくる。
これ以上、嗚咽が漏れないようにと手で覆っても、それは効果をなさない。
「……ふっ、…っ……くっ……」
好きだったの。
どんなに冷たくしていても、好きだった。
君の笑顔が、大好きだった。
願わくば、この想いが届いて欲しかったよ。
「好き……だったのよぉ…」
好き。ほら、言葉を口にすると、こんなにも苦しい。
どんなに願っても、君は私を見ることはない。
このままこの感情を持ち続けていたら、君の笑顔が曇って見えてしまう。
君の幸せを喜んでやれない私なんて、嫌なんだ。
だから、最後に。
「ずっと、前から……好き、でした」
この言葉を口にして、君への想いを終わりにするよ。
さようなら、わたしの初恋。