私の教官
たまご
私の好きな人は教習所の教官である
板瀬翔 先生だ。
私が通う教習所は担当の先生を指定できないため、板瀬先生に当たるのは運だ。
先生からすれば私はただの生徒にすぎない。
板瀬先生が初めて担当をしてくれた日
私は曲がり角で何度も脱輪し、周囲の車にとても迷惑をかけていた。
失敗ばかりの私に板瀬先生は
「今お得なうちにいっぱい失敗しとき」
なんてふわりと微笑みながら冗談まじりの言葉で空気を変えてくれた。
それからの時間は失敗もせず
落ち着いて運転することができた。
板瀬先生の一言が変えてくれたのだ。
その夜は何をしていても板瀬先生の言葉がリピートして私の心を乱した。
ドキドキし、会いたいと思っていた。