私の教官
ひよこ
車に乗り込むと
板瀬先生のたばことコーヒーの匂いが
車に広がって
私の鼓動がとまらない。
隣に座ってる。
同じ空気をすっている。
これがデートだったら?
なんて妄想を膨らましていたが、
板瀬先生の言葉でさえぎられた。
「だいぶ進んでるね~
この時間が終わったら検定受けれるからな!」
「はい。よろしくお願いします。
でも、たぶん検定は受けられないです。」
その瞬間板瀬先生はあの時みたいに
ふわりと私を包むように笑って
「俺が完璧にしたるから大丈夫や!」
と言った。
その瞬間私の中のストッパーのようなものが
パツンッと取れて
板瀬先生が本当に好きだと思った。