続・生意気毒舌年下男子
愛している君
☆幸来side☆
二瑚が迷子になったあたしの手を握ってくれた時。
一瞬見えてしまったんだ。
二瑚の右手首にある、血の滲んだ包帯を。
二瑚、切っていないよね?
切りたくなっていないよね?
二瑚が切りたくなるのは、きっと精神的に不安になった時。
前に聞いたことがあるんだけど。
全員じゃないんだけど、親からの愛情を受けていない子は、精神的に不安定になる子が多いって。
二瑚は、親からの愛情なんて受けた試しがないと思うから。
だからいつも完璧そうに見えるんだ。
中身、脆いくせに見せないんだから。
だから、言ってあげた。
「寂しくなったら、言ってね」
二瑚が聞き返してきたけど、あたしは無視した。
年上らしいことなんて何もしていないのに、いきなり年上面するのも恥ずかしいからね。
二瑚。
二瑚。
あたしから離れて行かないで。
あたしを1人にしないでね。