続・生意気毒舌年下男子
年上なキミ
☆二瑚side☆
朝ご飯も食べずに、俺は家を出た。
父さんはまだ寝ているし、母さんは帰って来ていない。
朝ご飯を作るなんて奇特な人、この家にはいないから。
てかそもそも水道とか電気通ってねーから。
作ることも出来ない。
俺は溜息をつきながら、エレベーターに乗りこんだ。
エントランスに着くと、誰もいない。
毎朝待ち合わせをしている俺の彼女・上野幸来は、まだ来ていないみたいだ。
寝坊だろうな、と思いながら幸来のスマホに電話をかけた。
予想通り、誰も出ない。
1回切り、再び電話して切って、掛け直しを繰り返した。
こうすると、幸来の対応が可愛いから。
からかいの気持ちで、俺は毎朝日課としている。
幸来がバタバタと階段を下りてきた。
我が儘を言う幸来を自転車の後ろに乗せ、幸来を絶叫させてやる。
そんな姿でも良いと思う俺は、重症なのか、それともドSなのか。
まぁ、幸来を好きなことは変わりねーから。
俺は駅でいつものように泣きじゃくる幸来の手を、スッと握る。
本当は握りたくないんだって言ったら、幸来はどんな反応をするのだろうか?
ますます泣きじゃくるか、それとも哀しそうな顔をするか。
どっちにしても、幸来の哀しむ顔を見ることになる。
それは嫌だから、俺は言わない。