ビターバレンタイン
恋は盲目っていう。
本当にそうだ、と思う。
夢中なときは、それにとことん打ち込める。知りたいから、知る。彼の欠片を集めた。彼を、祐輔が好きなものとかキライなものとかを私は知ろうとした。覚えた。彼はどうだっただろう。
彼は。
私の。
松谷舞の欠片を、集めていただろうか。
馬鹿な質問。
そんなの、わかってるくせに。
私は学校で、友人にチョコを配った。そして同じように貰った。舞が手作り!?などと皆に驚かれて、私は苦笑をもらした。手作りといっても、そんな手の込んだものじゃないよと。
「祐輔」
放課後、私は誰もいない教室にいた祐輔に声をかけた。いつもと変わらない顔。それが余裕に見えて腹立つ。
「舞か」
「うわ、それ全部貰ったの」
「義理チョコな。食べるか?」
「ひどい。せっかく祐輔にってあげただろうに」
机には、いくつかの包みがあった。透明な包みだったり、小さな箱だったり様々。相変わらずだな、と思う。