男っぽい女の子の恋愛事情。



「よーし加藤さん、変身しよっか!」


「へ、変身?」


トイレにつくなりそんなことを言い出す萌



「まず、メガネはずして」


「で、でも……」

「はやく」


萌の有無を言わせぬ顔に身をすくませ、オドオドとメガネをはずす加藤



「……可愛いじゃん」


思わずそんな言葉が口から飛び出た



「うん、可愛い」



加藤の目は、綺麗な黒でぱっちり二重。


そして少しカールしかまつ毛


「そ、そんな…っ」



「よし、次は髪の毛ね」


「そんなのいつの間に…」


萌の手にはくしとピン


「こんなの、常備してるのが普通よ?

ま、男っぽい凛にはわからないでしょうけどね」


うっ……


まぁ、それもそうだけど



鼻歌交じりに加藤の髪の毛をいじりだす萌



いつのまにか加藤も大人しくなっている



______数分後


「よしっできた!」


私はいじっているスマホから顔を上げた


「わお……」


そこには、長い綺麗な髪を、頭の上でお団子にした加藤がいた



「すごい……」


加藤は鏡に映る自分をウットリと見つめていた



「やっぱり、加藤さんは可愛かったね!」


そう言って笑う萌に「だな」と返す


「あ、あの!ありがとうございました!」



「いーのいーの!
てか、敬語なしね?同い年なんだから」


「あ、は…うん!」



そう言って笑う加藤はとても可愛らしかった



「じゃ、私はこれで…」



「どこ行くの?」


「へ…?どこって、お昼を食べに…」



「待てよ。私らも行くし」


「え、でも……」


「……私ら、もう友達っしょ?
私は友達を1人になんかしない。

だから、一緒に食べよ?" 美里 "」



私の言葉に口をパクパクさせる加藤、いや、美里



「そうだよ!
私たち、友達じゃん!
一緒食べようよ、美里」


萌も優しく微笑んでくれる



「とも…だち?」


目に涙を溜めながら言う美里


「そ、友達。

ほらお昼食う時間なくなるよ?
早く行こ」


「う、うん!」


美里はパァッと顔を輝かせてついてきた



加藤美里……


暗くないし、可愛いし


案外、いいヤツなのかもしれない。




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