男っぽい女の子の恋愛事情。
「……はぁ…まじかよ…」
無事桜ヶ丘高校に着いたはいいものの…
クラス表が貼ってある玄関は人でごった返していた
身長168cmの私でも、成長期の男子には負けて、背伸びしても全く見えない
「…ちっ……」
私はイライラしながら人が減るのを待つ
「あ、凛!」
ん?
声がした方を振り返ると、小学校からの親友、立花 萌 - Tachibana Moe - がこちらに走ってきていた
「おぉ!萌!はよ!」
萌は、少し茶がかった髪の毛を腰あたりまで伸ばしている
私とは対照的
でも、身長は6㎝しか変わらない
萌もわたしも、飛び抜けて背が高いのだ
「おはよおはよ!
もうクラス表見た?」
「それが…人が多すぎて見れねぇの」
私はチラッと人混みを見る
「あー、そっか
私見てくる!」
「え、あ、ちょ、待てよ!」
いきなり走り出した萌を慌てて追いかける
「あのー!すみません、通してもらってもいいですか?」
やっと萌に追いついた私
って…よくそんなこと言えんな
バカなのか抜けてんのか…
9年近く一緒にいるけど全く分からない
「え!ねぇねぇ、あれ、" ウワサの凛萌 " じゃない!?」
「ん、どれどれ?
って、そーだよ!ウワサの凛萌だ」
「きゃー!ウワサ通り凛ちゃんはかっこよくて萌ちゃんは可愛いっ」
「まじ近くで見るとかっけぇな…」
ん?
" ウワサの凛萌 " ?
なんだそれ
よくわかんなかったけど、みんながよけてくれて道ができたから
ま、いっか
「どーも」
「ありがと!」
私たちは堂々とクラス表を見た
「お、私B組だ
って、萌もB組じゃん」
「えぇ!?ほんと!?
やったー!」
隣でピョンピョン跳ねる萌
いやぁ…可愛いなぁ
モテるのもよくわかるよ
「行くぞ」
私は萌の手を引っ張って1年B組を目指した