セカンド・チョコレート

「……おはよう」


「お前がこの時間に準備終わってるなんて珍しいな」


 そりゃだって、パジャマ姿に寝癖つけてチョコ渡すなんて嫌だし。冷蔵庫で冷やし固めておいたチョコをラッピングする時間も含めて今日はいつもよりずっと早起きした。お母さんより早かったくらいだもんね。
 でもそんな事は言わずあたしはにっこりと笑う。
 折角大人っぽいセレクトで作ったチョコだもん。ギャーギャー騒ぎながら渡したら台無しだ。


「お兄ちゃん、これ」


 背中に隠していたチョコの包みを差し出す。


「いつもありがとう」


「ああ今日ってバレンタインか。サンキュ」


 うん、今年も誰よりも早く渡せたはず。ここだけは毎年譲れないポイントだった。まあ休日の曜日設定によってはフライングで渡してる人もいるだろうけど、そんなのはノーカウントって事にする。

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