風紀委員長のとある事情
とある日。
「おじいちゃん、もう夜ご飯だよ!」
いつもの夜ご飯の時間なのに一向に部屋から出てこないおじいちゃんに詩織は遠くなった耳にも聞こえるように大きな声で呼びかけた。
寝てるのかな?
そう首を傾げながら襖に手をかけたとき。
「詩織っ!」
台所で夜ご飯の準備をしていたあばあちゃんが急いで詩織の元に駆け寄ってきた。
「おじいちゃん具合が悪いから今日は一緒に食べられないの。ごめんね」
いつもの優しい声で頭を撫でるおばあちゃんに詩織は「わかった!」と元気よく返事をした。
でもそのとき気づいてなかった。おばあちゃんの声が少し震えていたことに。