風紀委員長のとある事情





お母さんが迎えに来る前には必ず連絡が来る。その日もちゃんと連絡が来た。



いつもだったらおばあちゃん家の前まで来てくれるのに、今日はおばあちゃん家からちょっと離れたバス停までしか来てくれないらしい。





「なんで?」


詩織はすぐ疑問に思ったことを口にした。



「いいから、お母さんの言うことは聞きなさい」



聞いたらなんでも教えてくれるおばあちゃん。

それなのに曖昧な答えに詩織は少し首を傾げた。




だけどあの暗い林の中に一人で待たなきゃいけない恐怖が勝ってその異変は見過ごした。




涙目になった詩織におばあちゃんはいつもの柔らかな笑顔でこうなだめた。





「そうだよね、怖いよね。ごめんね。でも詩織は強い子だから一人でも大丈夫。詩織なら頑張れる」




そう言っておもむろにポケットから何かを取り出したおばあちゃんはその何かを詩織の手に乗せた。





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