風紀委員長のとある事情
「これ、お守り」
「お守り?」
それはピンク色の勾玉キーホルダー。その可愛さに一気に涙が止まるほどだ。
「そのお守りはおばあちゃんとおじいちゃんから......詩織は大事な...大事な子だよ」
なぜかおばあちゃんの目から涙がポロポロと流れ始めた。
意味が分からない詩織はそのお守りを握りしめたままだった。
嫌な予感を背にしながら詩織はお母さんにいち早く会いたい思いで暗い林の道に足を進めた。
詩織の背を遙かに越える林がお化けのように思えてチカチカする街灯に恐怖が増していく。
怖い 怖い 怖い。
そう思うたびお守りを握る手に力がこもる。
気づくと、近づく光が見えてきた。詩織が待ちに望んだ車だ。