風紀委員長のとある事情

* ある意味、記念日 *






部活がない者は家路について部活がある者は汗を垂れ流す、そんな時間。




「あのキーホルダーは私のでした。だから返してください」



詩織は大切なキーホルダーを返してもらうために風紀委員会室に来ていた。


真剣に話す詩織とは対照的に千堂は不気味に笑い出した。




「ははっ驚きましたね。キスされた時よりも戸惑ってるじゃないですか」



詩織はいつもの表情をしていたつもりだったが、どうやら戸惑いが顔に出てしまっていたらしい。




「もし、もしですよ。返さないと言ったらどうしますか?」



「えっ...」



「もしですよ。あなたの大切なキーホルダーで脅すと言ったらどうしますか?」



「えっ...!」


「全部もしかしたらの話ですよ。まぁゆっくり話しましょうよ」




詩織の気持ちを言い当てて調子が出てきた千堂は、他の生徒に見せるいつもの爽やかな笑顔で詩織を座るよう促したのは黒の応接ソファー。




ムカつくっ...


心の中で唾を吐き捨てキーホルダーの効力で半ば強制的に腰を下ろした。




お尻が沈むほどフカフカなソファー。


ムカつくっ...





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