風紀委員長のとある事情
* 誰かのせいで変わってしまった日常 *
高らかに鳴る目覚まし時計に起こされた詩織は掛け布団から顔を出し、
ベッドの脇で踊り狂う目覚まし時計を一瞥して絶望した。
事実上の一人暮らしをしている詩織は普通の高校生より早起きをしなければならないなのだ。
一人だから勉強しなくても怒られない、そんな自由な生活を得られる代わりに、一人で炊事洗濯掃除などをしなければならないからだ。
寝ぼけ眼で詩織は脱衣所へ向かい洗濯機のスタートボタンを押すとキッチンの冷蔵庫を開ける。
詩織は毎朝お昼のお弁当を手作りしている。
売店で買えば朝もう少し寝られるが、
4時間目が終わるとすぐにみんな売店へ直行、しかも詩織の教室から売店は遠くどんなに走ってもお目当ての商品は売り切れに...
その悔しさを二度と味わいたくない、だから朝早く起きてお弁当を作っている。
手作りって言ってもほとんどが冷凍食品。
数秒チンしてお弁当箱に入れればいいだけだし卵焼きとかウィンナーとかは朝ご飯の目玉焼きついでだと思えば苦しみは軽減される。
いつも通りにお昼ご飯の準備を進めていると、通常なら鳴らないはずのスマホが鳴った。