風紀委員長のとある事情
体育館から聞こえてきた耳に残る低く落ち着いた声に舞台が一瞬で消失する。
千堂の声がタイプだなんて認めたくない。
「___立ち入り禁止の屋上に煙草の吸い殻が落ちていました。
それに伴い、今日授業を始める前に緊急の持ち物検査を行います。
教室に戻ったら各クラスの風紀委員に従って下さい」
『えっ...』『マジかよ...』『ヤバい...』なんていうザワザワした空気が漏れ聞こえてきた。
やましいこと・物を持っていない詩織は本を1ページめくる。
「___もちろん検査は強制ではありません。
それに煙草を吸ったのは生徒ではなく教師かもしれません。
我が白華学園では教師が禁煙することは禁止ではありません。
教師がどこで吸おうが別にどうでもいいことです、自分の意見ですが...
ただ、立ち入り禁止の屋上で吸ったことが問題なのです」
心地よい声音で少量の毒舌を交えながら続けていく。