風紀委員長のとある事情
お弁当を片づけていると、千堂から逆らえない注文が来た。
「あとこれから放課後一緒に帰るから」
「私、部活入ってないですけど...」
千堂は弓道部で詩織は帰宅部。
当然帰る時間が違いすぎる。
「それはお前が...」
「あのお前って言わないでもらえますか?殴りかかりそうなんで」
「しょうがないな、分かった」
物騒な事を口にする詩織の小さな小さな注文に、わざとらしい渋々感を出しながら認めた千堂は話を続けていく。
「これ」とポケットから出したのは何かの鍵。
「風紀委員会室の鍵。
これ使って中に入って待ってろ、
終わったらここ来るから」
反抗すると面倒くさくなりそうなのでまたも返事をせずにいると鍵を詩織の目の前に置いた。
「あと他の生徒にバレたら面倒くさくなるから、お前......詩織が後からついてきて、分かった? 詩織?」
千堂は可愛らしく小首を傾げているようだが気持ち悪いというかイラつく。
基本詩織は面倒くさがり屋なので『詩織』には触れずに返事だけをしとき鍵を握りしめて立ち去ってやった。
ムカつく。
本当ムカつく!
絶対、見返してやるっ!
松永さんの事なんて、
頭の片隅にもない詩織は風紀委員会室のドアを力強く閉めてそう決意した。