風紀委員長のとある事情
* 薄っぺらい告白 *
放課後、風紀委員会室の鍵を持って第4校舎の階段を上がっていく詩織。
全力で千堂に逆らいたいが逆らう事が出来ない自分に、怒りを覚えながらもキーホルダーのためと、右足左足と段を踏み込む。
2階の踊り場に出ると隣の教室から人影が数人出てきた。
だがその事は無視してというか気にせず、通り過ぎ3階へ上がろうとした時、「詩織ちゃん!」と昼に聞いたあの柔らかな声が詩織を立ち止まらせた。
一気に固くなってしまった体を柔らかくするために深く息を吐いてから後ろを振り返ると、
予想通り松永さんの姿があった。
「な、なんですか?」
「ちょっとさっきの続きを......」
詩織の後ろから差す夕日が照らす松永さんの背後で、数人の男女がこちらを不思議そうに見つめている事に、気づいた詩織も不思議そうに見つめる。
そんな詩織の視線に気づいた松永さんはその視線を辿り後ろを振り返った。
「先に行っててください」
そう松永さんが声をかけると数人の男女は返事をして姿を消していった。
「今日は生徒会の仕事で部活の様子を見て行ってるんです。さっきの彼たちは生徒会のメンバーです」
松永さんは詩織に事の説明をしてから話を再開した。
「昼の続きするね。拓真とじゃなくて俺と付き合わない?」