風紀委員長のとある事情
寝息をたてる詩織の顔をのぞき込む様に千堂はしゃがみ込む。
それでも背が高いため近くで詩織を見下ろす様な形になるだけ。
___それにしても......
千堂のしなやかな指がすーすーと寝る詩織の頬に触れそうになった時。
「んっ......」
気配に気づいたのか、
神様が許してくれないのか、
詩織は目を覚まし千堂は急いで手を引っ込めた。
「お、起きたか......まったく、彼氏が部活で頑張ってるっていうのに寝るとか、本当無いですね」
とっさに平静を装って机の方に向かって引き出しを開ける。
___あるのか...
「すいませんね!
あなたが急にお昼作れとか言うからいけないんでしょ...」
引き出しから脅しの道具であるキーホルダーを取り出すと詩織のむくれ面はより強くなる。
「ここに閉まってあったのにまんまとその横で寝るとか。バカみたいだな...」
「バカとはなんですか!バカとは!」
「まあ、ここには鍵ついてるから、結局は盗めないんだけど」
本当の事を言うと、鍵穴はあるけどわざと鍵はつけてなかった。
つまり漁ってたり何かしてたらすぐに盗めたって事だ。
ぷんすか怒る詩織をよそにキーホルダーをカバンに入れ「帰るぞ」と言い残して風紀委員会室を出た。