風紀委員長のとある事情
「また今度」
離れた千堂は落ち着いた声でそう言い残して去っていった。
ファーストキスを顔見知り程度の人に奪われた...
絶望感を背負いながらいつも通りのギャーギャーうるさい教室へ。
自分の席に座って気づいた。
人生に期待してたんだ、と。
ただのファーストキスでこんな気持ちになるってことはこれからもっとこんな気持ちを味わうっていうことだ。
それは人生の中で起きる"普通"なことに期待してしまっているから。
誰がファーストキスは好きな人とするって言った?
誰が幸せな人生を送れるって言った?
自分なんかの人生に期待しちゃいけないんだ。