幕末の恋と花のかおり【完】


私は松田花織。
十七歳の高校二年生。
剣道部に入っていて、ポジションは先鋒です。

楽しい高校生活を送っていて、友達との時間は何よりもの宝物でした。
しかし、ある日私の毎日は突然180度変わりました。
驚くことに、階段から落ちて、気がついたら花の香りが微かにする幕末の京にいたのです。

私は新選組に拾われ、十一番隊の組長を任せられました。
この時代で、たくさんの人と出会って、思いを伝えたい大切な人ができました。

でも、私は女性に刺されました。
その人の旦那さんを私が殺したんだって。

こんな最低な人間に、思いを伝える資格なんてあるの?
居場所なんてあるの?

どうすればいいのかわからない。

ーーーーー

これが松田花織のストーリーである。

「組長〜!」
少し震えた十一番隊のみんなの声。

「早く起きてよ、花織。」
よく聞く古株の幹部たちの声。


「花織!!!!」
優しくて、強い、
「起きてや。」
大好きな上方言葉。

この上方言葉がまさに私を幕末にとどまらせている。


ーーーーーあるじゃん、居場所。






なぜだか、今ここで、幕末にいたくないと少しでも思えば元の時代に戻らなければならなくなる気がした。

自分勝手。

だけど、この暖かい仲間達。優しい上方言葉を捨てることなんて出来っこない。


「花織!」
山崎の声。

ーーーーー今、起きるから。頑張って起きるから。待っててください。

< 106 / 130 >

この作品をシェア

pagetop