幕末の恋と花のかおり【完】
周りの人たちのざわめきが一瞬止まる。
武士が私を睨んだ。
「お前には関係ねぇだろ!」
ああ。うぜえ。
その時、後から声がした。
「すいませんねぇ。生憎無関係ではないんですよ。
自分たち新選組は、京の治安を守るために、困っている人がいたら助けるのが仕事なんでね」
振り向くとそこには
「左之さん、しんぱっつぁん、平助くん…」
「助けに来たぜ! 花織!」
「新選組だと!?」
そう言って武士は刀を再び抜く。
「ここで戦うんですか? みなさんにあなたたち斬られるところを見られるんですよ?
いいんですかね?」
しんぱっつぁんがそういうと、武士の一人が私に斬りかかってきた。
さすがに町人がたくさんいる前で人を斬ることはできない。
私は素早く男の手首を掴み、投げ飛ばす。
すると、他の武士たちは、
「し…新選組、覚えとけよ!」
そう言って走り去っていった。
なんて間抜けな武士たちだこと。
すると、周りの人たちから拍手が巻き起こった。