幕末の恋と花のかおり【完】
そのとき、「ちょっとええどすか?」と可愛らしい声で言われ、私は振り返った。
振り返ると、そこには先ほど武士に絡まれていた女性が。
「先程はありがとうございました」
笑顔で言われ、女の私でも思わず照れてしまう。
「いえ、そんな大したことはしていませんよ。
そんなことより、お怪我はございませんか?」
私がそう問うと、彼女は少し頬を赤らめ、
「おかげさまで怪我してまへん。
うち、鈴音いいます。
お名前、教えてもらってもええどすか?」
鈴音ちゃんの京都弁可愛すぎっ!
「鈴音さんに怪我がなくて良かったです。
自分は、新選組十一番隊隊長、松田です」
「松田はん。ほんまにありがとうございました!
お礼として、今度うちの働いてるお店で接待します」
そして、鈴音ちゃんは、お店の名前をつげた。
「ありがとう。
今度お店行かせてもらいますね。
楽しみにしてます」
「はいっ!
ほな、失礼します」
鈴音ちゃんは、笑顔でそう言って、花街の方へかけていった。