幕末の恋と花のかおり【完】
第六章
荷物をそれぞれの部屋においたあと、私達は土方さんの部屋へ行った。
そこにいたのは、私が未来からきて、女だということを知っているいわゆる、“古株”の幹部だった。
でも、一人だけ私の知らない人がいた。
黒髪で、少し肩幅は広く、切れ長の目をしていて、すごく綺麗な男の人。
誰だろうか。
そう考えていると、近藤さんがその男性を紹介した。
「こちらは監察方の山崎丞だ。」
近藤さんが“山崎丞”と彼の名前を言った時、私の脳はフリーズした。
そして、数秒たって状況を理解した。
花織の目の前にいるのはあの山崎烝。
小さな頃から憧れていた山崎烝。
「監察方の山崎烝です。 どうぞよろしく。」
「本物だ……。」
大好きな山崎丞が目の前にいて、興奮が止まらない。
気がついたら私は拝んでいた。