幕末の恋と花のかおり【完】
第七章
ーーーー翌日。
私は土方さんが用意してくれていた着物に着替えていた。
「花織! 気をつけろよ!!」
「うん! いってまいります!」
屯所の門をくぐり、外へ出た。
立ち止まって空を見上げた。 雲一つ無い快晴。カラッと乾いた冷たい空気が気持ちいい。
今まで、こんなに清々しい思いをしたことがあっただろうか。
「花織、行くで。はよせんと置いてくで〜。」
そんなことを考えていたら、前の方から山崎さんの緩い大阪弁が聞こえた。
「今行きます!」
走って山崎さんの方へ向かう。普段とは違い、着物なので走りにくい。
「うわっ...っ!」
思い通りに足が開かず、つまづいてしまった。
ーーーーせっかく土方さんが着物を用意してくれていたのに、汚れちゃう。それに痛いだろうな...。
そう思い、覚悟をして目をつむった。