幕末の恋と花のかおり【完】
「わっ...!」
いきなりで転びそうになる。
「行くよ」
「...どこに行かはるんどすか?」
返事はない。
しばらく歩いてたどり着いたのは、一番はしにある個室だった。
中に入るなり、私は畳に押し倒される。
松下村塾の三秀と呼ばれるような吉田栄太郎は、こんなキャラだったのかと、かなりショックを受けた。
そんなことを考えている暇はない。私の手首はいつの間にか吉田栄太郎によって畳に押し付けられていたのだ。
いくら力が強い新選組の隊長とはいえ、男の人の力にはかなわない。
「栄太郎はん! やめとくれやす。」
やめてと訴えたが、やめてくれる気配もない。
「その表情、そそるね...」
恐怖のあまり、体が震えてしまう。
そして、吉田栄太郎の手が私の着物に伸びてきた。