幕末の恋と花のかおり【完】
その時だった。
ーーーーーーゴホッゴホッ!!
沖田が咳をした。その隙に吉田は大きく振りかぶっていた。狙いは、沖田総司……。
気がつくと、花織はそちらへ走っていた。
「沖田さん、危ない!!!!」
槍と刀がぶつかり合う金属音が部屋に響いた。
「やっと戦う気になった? 松田花織ちゃん」
そう言うと、吉田は意味ありげに笑みを浮かべる。
「吉田さん。あなたの相手は私がする!」
「花織…ちゃん。僕が……。」
苦しそうに沖田がいった。
「沖田さん! 私に貸一ね。
いつか返してくれればいいから、今は
休んでて!」
花織は言い終わると、吉田から距離をとり、正眼に構えた。
槍のひとと戦うのは花織は初めてだ。原田に手合わせをしてもらうべきだったと思ったが、今はそんなことは関係ない。目の前の吉田と戦うことに集中することを決め、吉田を一度睨みつけた。