幕末の恋と花のかおり【完】



「ヤアッ!」


打ち込むが、花織の打ちは軽々とよけられる。花織は吉田の凄さを思い知らされた。


吉田の槍が花織の胸を狙い伸びてくる。刀で受け止め、なんとかよけた。まさに間一髪だ。


「花織ちゃん、女の子なのによくやるじゃん」


「女だからってなめないでください。


私だって一応新選組の幹部です!」



「そういう強気なところもかわいいと思うよ」と彼は冗談か本気か分からない調子で言い、花織と間合いをとり構えた。

吉田はこれで最後にするつもりだと花織は悟った。



「もう長くは遊ぶことは出来ないわ」


花織がそう言うと吉田は笑顔になった。こうして見ると、彼はかなりのイケメンだと花織は思った。


「分かっているよ。一撃で決めてやる」




お互いに一つ息を吐いた。


そして二人同時に踏み出し、

「「ヤァッ!!!!」」




吉田は面を、花織は胴を狙って踏み込んだ。














< 65 / 130 >

この作品をシェア

pagetop