幕末の恋と花のかおり【完】
「ヤアッ!」
打ち込むが、花織の打ちは軽々とよけられる。花織は吉田の凄さを思い知らされた。
吉田の槍が花織の胸を狙い伸びてくる。刀で受け止め、なんとかよけた。まさに間一髪だ。
「花織ちゃん、女の子なのによくやるじゃん」
「女だからってなめないでください。
私だって一応新選組の幹部です!」
「そういう強気なところもかわいいと思うよ」と彼は冗談か本気か分からない調子で言い、花織と間合いをとり構えた。
吉田はこれで最後にするつもりだと花織は悟った。
「もう長くは遊ぶことは出来ないわ」
花織がそう言うと吉田は笑顔になった。こうして見ると、彼はかなりのイケメンだと花織は思った。
「分かっているよ。一撃で決めてやる」
お互いに一つ息を吐いた。
そして二人同時に踏み出し、
「「ヤァッ!!!!」」
吉田は面を、花織は胴を狙って踏み込んだ。