幕末の恋と花のかおり【完】
その様子を沖田は眺めていた。彼女が誰にでも優しいことはいつものこと。
普通、長州の人に抱きしめられていたら花織が長州と関係があると疑うが、疑わなかった。いつもの花織の新選組への熱心な思いを沖田は知っていたのであえてなにも言わず、ただ、眺めていた。
そして、気がつくとあたりは静まり返っていた。戦いが終わったのだろうか。
そんなときドタバタと階段を登る音がした。大分体力が回復した沖田と花織は刀に手をかけたが、抜く必要はなかった。
ガラリと麩があいて顔を出したのは藤堂と永倉だったからだ。