幕末の恋と花のかおり【完】
目を覚ました花織の視界に一番最初に目に入ったのは、山崎の顔だった。
看病をしてくれていたのだろうか......。
「花織、目覚めたんやな! 大丈夫か?」
そう言った山崎は心配そうな顔をしていた。
「すみません。烝さん」
花織は忙しいのに、と付け加えた。
「ええんや、花織は気にせんで。」
山崎の表情は柔らかかった。
そして山崎は続けた。
「多分花織は安藤のこととかで自分のことを責めてると思うんや。
でもな、そんなに自分を責めたらあかん。どんどん苦しゅうなってまうで」
それでも、私はどうなるか知っていた。
なのに何もできなかった。
花織はやっとの思いでそう伝えた。
「なんにもできてないわけないやん。
永倉さんと藤堂さんが怪我せんかったのも花織のお陰やろ?」
一粒、涙が伝ったと思うと、涙が堰を切ったように流れ出した。
そして、そんな彼女の背中を山崎はさすっていた。