幕末の恋と花のかおり【完】
山崎は思った。
彼女の背中はこんなにも小さかったのか、と。
違う時代からやってきて知っている人が誰もいない。そんな状態で十一番隊組長までして人を殺めてしまって、どんなに辛かっただろうか。
必死に辛い歴史を替えようとして、自分を追い込んでしまっている。それでも、笑顔で自分たちを支えようとしてくれている。
今の新選組があるのは彼女のおかげではないかと疑う程だ。
「これからは分けて欲しいねん。
その苦しみを。」
気がつくと、山崎は花織にそんなことを口走っていたのだった。