幕末の恋と花のかおり【完】
「私は......。
辛かったとき山崎さんに助けてもらいました。
だから、私はこうして生きていられるんです。
山崎さんを今度は私が、助けたいです。
山崎さんは言ってくれましたよね。
『泣きたいときは泣いてもいい』って。
今度は私に言わせてください。
山崎さん、泣きたいときは泣いてください。」
花織は、山崎に励ましてもらった、池田屋事変の時を思いながら、一字一句、大切にいった。
そして、大きな背中を今までよりもずっと強く、強く抱きしめた。山崎がどこかへ行ってしまいそうな気がして。
「今は......、一緒にいて欲しい」
花織は、はい、と呟いた。