幕末の恋と花のかおり【完】
自分は、何を望んでいるのだろうか。
何を、こんなにも辛く感じているのだろうか。
まるで、悲劇のヒロインを演じているよう。
でも、周りからするとそんなことは全くなくて……。
気づいている気持ちに嘘をついて、勝手に切なくなって、完全に悪いのは自分だ。
袴をきて、腰には大小を差している。
今の自分の服装を見て、花織は我に返った。
今の自分は女子高生の松田花織ではなく、新選組十一番組組長の松田花織なのだ。
こんなことに、くよくよしている場合ではない。
ここにいる限り、女としての自分は捨てよう。
そう、誓った。