幕末の恋と花のかおり【完】
穏やかな空気から一転。
にわかに煙の匂いが鼻腔を突いた。
突如聞こえる叫び声。
町の方をふりかえると、真っ赤に燃えていた。
「新選組隊士、全員聞け!」
その時、土方が血相を変えて走ってきた。その額には汗が滲んでいる。
「長州兵が、撤退するときに、河原町の長州藩邸に、火を......火を放った‼︎」
空気が、凍った。
「各隊、別れて嵐山へ避難誘導をしてこい!」
明け方の街に響くは隊士たちの返事。
そして、間も無く、避難誘導へ駆け出した。