如何にして、コレに至るか
三章。ついには、一緒。何も変わらない毎日を、より幸せに。
ーー
前触れもなく突飛。
しかして、心構えはしていたことが起こった。
二階で、物音がした。
「ひっ」
上げる声を手で塞ぐ。
心臓が太鼓と化し、その音を聞く一方でーー二階から、降りてくる、足音を、聞い、た。
「っ、っ!」
過呼吸のように息が乱れる。
間違いない、足音。
重く、規則正しい音色(足音)が、私の心音を乱す。
ギシィギシィと、階段を降りきった。
部屋の扉、こちらには鍵がついていない。
バリケードをする余裕はない、せめてドアノブを握って、中に入られないように!
「くっ……」
頭と体が合致しない。
震え上がった体が、脳の命令を無視する。
立ち上がったはずの足が再度膝をつき、扉を凝視するしかなかった。
この体勢では、入ってきた奴に簡単に組み伏せられてしまうのに、頭では分かっているイメージも出来ている、対策だって思い付いたのに、分かっているのに!
宮本さん、宮本さんっ、宮本さん!
「ふっ、くっ」
乱れる呼吸は、足音が近づいて来ているから。
初めての“誰か”の気配に遭遇し、頭は先ほどから危険信号を点滅させている。
そんな私に構わず、足音は近づきーーピタリと、止まった。
ガチャンと、ノブを回す音。
キイィと、扉を開ける音。