如何にして、コレに至るか
考えがまとまらない。彼の声が耳に入っても、分からない。
実家?カメラ?あいつが入った?薬?
「なにを、なにを、言っ、て」
「混乱、するよね。君が起きたら、ゆっくりと説明しようと思ったのにーーあれがいたから出来なかった。帰って来るなり、いきなり襲いかかってきて。とっさに、君はあの部屋、一階の部屋に避難させて、外から鍵もかけて無事だと思ったんだけど。出てきちゃったんだね」
仕方がないという口振りで、彼は私の手を握った。折れた左手で、無理に。
「あの部屋の扉は、頑丈にしてもらったんだ。もしも三葉を狙う奴が来ても、避難出来るように。刃物も揃えて、いざとなったら、目張りと窓もそれで破って逃げるつもりだったんだけど、冷静になれなかった。君だけでも守らなきゃって、部屋に鍵をかけた。君から遠ざけるために、鍵を寄越せと追ってくるあいつを二階まで誘導して、そこで殺すつもりでいたのに……、この様だ。
三葉が見たように、拘束され、リンチ。殺さなかったのは、俺が鍵の場所を吐かなかったからかな。吐かないと知って、あいつこの部屋を虱潰しに探していた。そのせいで、“コレクション”がめちゃくちゃに荒らされたけど、君が無事ならいい。この部屋も、俺も、どうなってもいいけど、君だけは守らなきゃいけない。
君が傷つけられるかもしれないんだ。何をされても吐くつもりはない。そうして、どこを探しても見つかる訳がない。鍵、飲み込んだから」
体中の傷すらも省みない彼は、ひたすらに笑っていた。
私との再会を喜ぶ表情のまま、語っていた。
如何に、自分が、君を、愛しているのか、とーー