遊園地は眠らない
「お願い。一緒に座って」

萌絵が震える手で私の腕をつかんだ。

「うん」

そばにあった馬車がふたり乗りだったのでそこへ。

いくぶん狭いその中に入ると、知らずに息を殺している自分に気づいた。

『みなさま、おときの国へようこそ。あなたはお姫様。そして、あなたは王子様。間もなく出発します』

アナウンスのあとすぐに、


ブーッ


とブザーが鳴り響く。

萌絵はそれだけでもう体を小さくして怯えている。


ゆったりとしたクラシック音楽が流れたかと思うと、床が回転し出した。

偶然にも学校の昼休みにかかっている曲と同じだった。
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